『あさえとちいさいいもうと』~幼いながらも大切なものを守る責任感と不安と緊張と~

こんにちは。tarumiです。

 

暑い。

毎日ただただ暑い。

 

こんな時はここが一番!と、

大型ショッピングモールへ。

涼しいし、見て回るだけでも

一日楽しめます。

 

すると、どこからか子どもの泣き声や

迷子に関する放送が頻繁に聞こえてきます。

 

人の多い所でよくある光景ですよね。

 

ウチの子もあったなあ・・・と思いつつ、

ある絵本を思い出しました。

 

それが今回ご紹介する

 

『あさえとちいさいいもうと』

 

です。

 

母親が留守の間に、

面倒をみていた妹の姿が見えなくなり、

必死で探すお姉ちゃん・あさえの物語。

 

大事な妹を見失った不安と焦りは、

大人だって共感しまくりのお話です。

 

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自己紹介 tarumi

 

 

 

 

 

『あさえとちいさいいもうと』

 

 

 

作品情報(対象年齢、作者、イラスト、発行など)

 

作:筒井 頼子

絵:林 明子

発行所:福音館書店

発行年:1982年4月

対象年齢:(読み聞かせなら)3歳~

(自分で読むなら)小学校低学年~

 

・中央児童福祉審議会推薦

・日本図書館協会選定

 

 

あらすじ

 

あさえはお母さんが留守の間、

妹のあやの面倒をみていました。

 

妹を喜ばせようと、

夢中で道に絵を描いていましたが、

ふと顔を上げると、

いつの間にか妹がいなくなっていたのです。

 

慌てて探しに行くあさえ。

 

不安と緊張におしつぶされそうになりながらも

必死で妹を探します。

 

無事妹を見つけられますように!・・・

 

 

みどころと魅力

 

 

『はじめてのおつかい』

『おでかけのまえに』

等で知られる、

筒井頼子さん、林明子さんコンビによる

名作のひとつ。

 

子どもの感情に寄り添った丁寧な文に、

繊細で、優しい色使いと温かみのある絵で

子どもから大人まで、

たくさんの人の心を掴んで離しません。

 

お二人の絵本には、いつもちょっとした

小ネタが満載♪

 

今回も隠れキャラがあちこちに。

 

公園のブランコには

『はじめてのおつかい』のみいちゃんが。

 

同じく雑貨屋のおじさんおばさんは

自転車事故のページのどこかに・・・

 

そんな隠れキャラを探すのも楽しいです。

 

このお二人の作品はファンが多いですが、

例に漏れずわたしもその一人。

これからもご紹介できればと思います(^^♪

 

今回のお話も、

小さな女の子の心の動きや緊迫感が、

細やかな文章と絵によって

見事に表現されたロングセラー絵本です。

 

 

お母さんに留守番を頼まれた姉のあさえ。

その責任を胸に、

泣いて目覚めた小さい妹のあやに、

靴を履かせてやり、

手を引いて面倒をみます。

 

お母さんの真似なのかな?と思わせる、

柔らかいお姉さん口調がかわいらしいです。

 

妹を喜ばせようと一生懸命な姿もいじらしい。

 

また妹の「しゅっぽ」と言えず、

「ちゅっぽ」と言う舌足らずな所も

これまた微笑ましい。

 

妹を喜ばせる為のはずが、

線路を描くことに夢中になってしまうあさえ。

 

集中しすぎて周りが見えなくなる感じが、

俯いて顔が全く見えない描写だけで、

ものすごく伝わります。

 

気が付くと隣にいない妹。

 

どこに行っちゃったんだろう!?

 

妹がいなくなったことに気づいた時の焦り、

自転車のブレーキ音や、子どもの泣き声。

 

肩に力の入った感じとか、

後ろ姿や走り方を見るだけで、

あさえの必死さや不安、緊張感が

ひしひしと伝わってきて、

読んでいるこちらも、

心臓がぎゅーっとなるくらい

ドキドキします。

 

あさえの目線で描かれている街の風景は

壁や車、大人も何だか大きく見えて、

圧迫感すら覚えます。

 

どのページも丁寧で柔らかい色調なのに、

ページをめくりながら、

心がソワソワしてしまう自分がいるのです。

読み手をグッと引き込む力の強さを感じます。

 

公園で妹の姿を見つけたあさえ。

 

きっと心の底からホッとしたであろう心情が、

顔は描かれていないけれど、

周りの光の加減や背中から

しっかり伝わります。

 

駆け寄るあさえに、無邪気な笑顔で

砂だらけの手をあげる妹の幼さがリアル。

 

叱るでもなく、泣くでもなく、

妹の足が地面から少し浮くほど

力を込めて抱きしめたあさえの姿に、

言葉はなくても、

感情の全てが表現されていて、

よかったねという思いと共に、

胸がじんわり熱くなりました。

 

終始、優しいあさえのお姉さんっぷりに

感心させられ、

感情移入しっぱなしでしたし、

姉妹っていいなあとしみじみ思いました。

 

裏表紙には、お母さんと3人の姿があります。

 

お母さんも家に帰って、2人がいなくて

どんなに心配しただろうと想像すると、

また胸が苦しくなります。

 

さっきまでそこにいた妹の姿が消えるとか、

現実にあったらと思うとゾッとしますが、

読み終えた後、

温かいものがじ~んわりと胸に染み入り

優しい気持ちになれるお話です。

 

 

感想:子育てを振り返って思うこと

 

 

この物語が出版されたのは今から36年前。

 

近年、小さい子どもだけで留守番とか、

子どもを残している家に施錠もしないとか、

家の前の道路で遊ぶとか、考えられない!

という意見も耳にしますが、

この頃はあまり珍しいことでもなかったようですね。

 

実際わたしもそんな風にして遊んでいた一人。

(おおっと、年齢がバレますね 笑)

 

日本もひと昔前から比べると物騒になったと

いうことなのでしょうか。

少し寂しいです。

 

古き良き時代の原風景が垣間見える

ノスタルジックな雰囲気に惹かれるのか、

ウチの娘も大好きだった絵本です。

 

この絵本を読むと、

胸がギュッとなる記憶が呼び起こされます。

 

娘が4歳、息子が2歳の頃。

ショッピングモールのおもちゃ屋で、

人形の洋服売り場から

ガンとして動かない娘。

そんな姉の側から離れない息子。

 

早く買い物を済ませて帰り、

夕飯の準備に取り掛かりたかった私は困り果て、

「2人とも絶対ここから動かないでね」と

言い残し、向かいの店舗に。

(今思うと、本当に浅はかな行動です・・・)

 

急いで会計して戻ると、

息子の姿が見えない。

 

お人形さんの洋服選びに夢中の娘に聞くと、

「その辺にいない?」

と辺りを見回して言います。

 

体中の血の気が引いていくのを感じました。

 

娘の手を引き、息子の名前を呼びながら

早足で進むわたしの様子に

ただ事ではない何かを感じ取ったのか、

娘が小さな声で「ごめんなさい」と言って、

口をキュッと結んでいます。

 

娘が悪いんじゃないと伝えたいのに

うまく説明もできず、

息子が一人で心細い思いをしているかもと思うと

気持ちばかり焦ります。

 

 

向かいの店舗とはいえ、

こんな小さい子達だけにして離れてしまった。

 

もう自分が情けなさすぎて、半泣き状態。

 

すると娘が突然、息子の名前を叫びました。

 

視線の先には、若いカップルの男性の方に

抱っこされた息子が!

 

息子は無邪気に

「あ、ママ~ ねえちゃ(=姉のこと)」

と手をふりふり。

 

話によると、走って来た息子が

カップルの目の前でべちゃっとコケたらしく、

「お母さんは?」と聞いても、

それらしい人は見当たらなかったので、

抱っこして一緒に探してくれていたとのこと。

 

ひたすらお礼を言い続け、

直角に折れ曲がったわたしに、

「お子さん、全然泣きませんでしたよ。

強い子ですね。」

と言葉をかけてくれ、

心優しいカップルさんは

手を振り笑顔で去って行きました。

 

よかったー!ごめんねーっと

息子に抱きつこうとした私を押しのけ、

娘が息子にしがみついて

オイオイ泣きだしました。

 

一生懸命泣かないように我慢していたけれど、

ホッとして涙腺も感情も大爆発。

少なからず、自分のせいだと思っていたはず。

娘には申し訳ない限りでした。

 

姉に泣かれながらしがみつかれた幼い息子は

訳が分からずキョトン顔で、

姉の頭をよしよししていました。

 

 

今となっては思い出話として語れますが、

あの時の自分の心臓の鼓動の大きさは

今でもはっきり覚えています。

 

そんな少し胸がギュッとなる猛省の記憶と共に、

個人的に思い出深い絵本です。

 

 

おわりに

 

 

兄、姉というものは不思議なもので、

なりたくてなった訳じゃないけれど、

本能で自分より小さい弟、妹を

守らなければと思っているのかも。

 

面倒くさいと言いながらも放っておけない。

 

お兄ちゃんもお姉ちゃんも、

自分のことだけでも忙しいのに、

下の子のお世話にも一生懸命です。

 

わたしも、娘には頼ってばかりで。

 

もっと娘を褒めてあげるべきだったなと

よく反省します。

 

そう娘に伝えると、

「大丈夫。アイツ(=弟)の面倒を見ながら、

あたしは何てできる姉なんだろうって、

いつも自分最高!って思ってたから」

と、カラカラ笑っていました。

 

我が娘ながら、

そのポジティブさは尊敬に値するな、と

心の底から感心。(笑)

 

姉弟の存在は、

面倒をみたりみられたりする中で、

それぞれを成長させてくれているようです。

 

そんな絆って、やっぱり特別で

いいものだなあと思います。