『てぶくろ』~リアル感あふれる描写と幻想的な余韻に想像広がる絵本~

こんにちは。tarumiです。

 

バレンタインのチョコを

味見(と称して食べ過ぎ)しすぎて

またまた体が重い。

 

運動を!と思い立ちお散歩していると、

道に片方だけの手袋が。

最近少し暖かくなってきたからかな、

と微笑ましく見た数メートル先には、

また違う手袋が。

それも片方だけ・・・

 

なんで?と笑いつつ思い出したのが

今回ご紹介する『てぶくろ』です。

 

*ブログを始めるきっかけは、
コチラ↓『自己紹介』にて書いています。

自己紹介 tarumi

 

作品情報(対象年齢、作者、イラスト、発行など)

 

作 :ウクライナ民話

絵 :エウゲーニー・Ⅿ・ラチョフ

訳 :うちだ りさこ

発行:福音館書店

 

読み聞かせなら3才から

自分で読むなら、小学校低学年からがオススメです。

 

あらすじ

しんしんと雪が降る中、

森を歩いていたおじいさんが

手袋を片方落としてしまいました。

 

雪の上に落ちていた手袋を

最初に見つけたのは、ねずみ。

手袋に住むことにしました。

 

そこへカエルやウサギ、キツネとオオカミに

イノシシが

「わたしも入れて」

「ぼくもいれて」

と次々とやってきては仲間入り。

 

手袋はそのたび少しずつ大きくなって

今にもはじけそう。

 

最後には大きなクマまでやってきて

手袋の中へ。

 

手袋は満員でぎゅうぎゅうです。

 

そこにおじいさんが手袋がないことに

気付き、戻ってきました。

 

てぶくろは、動物たちは、

どうなるのでしょう?

 

 

 

 

みどころと魅力

寒い冬に心あたたまる、人気のロングセラー絵本。

わかりやすく親しみやすい
テンポ良く繰り返されるやりとり

「わたしも入れて」「いいですよ」と

テンポよく繰り返すやりとりは

小さなこどもたちにとって

親しみやすく、わかりやすく、

物語の展開を想像しながら楽しめます。

 

幼稚園、保育園のお遊戯会の劇にもぴったりで、

娘の園児時代にもこの絵本の劇をしたクラスもあり

発表する園児も、観客の園児も楽しんでいたのも

懐かしい思い出です^^

 

 

 

幻想的な物語とリアル感溢れる美しい描写のコントラスト

まずはその、

目にも鮮やかなオレンジ色が美しい装丁。

表紙には手袋の中で

おしくらまんじゅう状態の動物たち。

 

この時点で、すでにありえない状況なのですが(笑)

そこは幻想豊かな絵本の魅力。

 

ページを繰るごとに登場する

動物たちの毛並みや表情がすごくリアルに描かれていて

物語がより生き生きと感じられます。

 

オオカミやイノシシやクマは、

若干 “いかつい“くらいの強面なのに、

みんな赤いワンピースやチェックのスカート、

毛糸の帽子やトレンチコートなどなど、

身に着けている物は何だかとってもオシャレ!

動物たちのファッションチェックも楽しい絵本です♪

 

 

 

時代を先取り!?
動物たちの楽しいシェアハウス

 

 

おじいさんの落としていったてぶくろは

見るからに暖かそう。

 

動物たちにはきっと

ありがたい落し物だったに違いありません。

 

 

が!

最初に手袋を見つけたねずみと次のカエルまでは

手袋と対比しても余裕で入れそう。

でもだんだん体の大きい動物たちが・・・

一体どうやって入ってるの?

と、思わずツッコミを入れたくなります(笑)

 

手袋も、気がつけばちょっと高床式になってたり、

はしごがかかってたり、下にドアがついてたり、

呼び鈴がついてたり、ひさしが増築されてたり。

とうとう小窓や煙突まで。

 

 

工夫を凝らして、

どんどん本物の家のように改造されていく様が

とってもおもしろい。

クマが入る前には、

すでに膨らみ はちきれそうになって、

ほつれている手袋。

 

「破けちゃう~」と子どもも大騒ぎです。

 

そんなギリギリの状態でも

「いれて」といわれると「どうぞ」と

受け入れてしまうみんなの寛容さもステキ。

 

いろいろ変わっていく箇所を

子どもと一緒に見つけていくのも

楽しいですよね。

 

大人は

「んなばかな!」

と笑っちゃうような展開も

子どもはすんなり受け入れちゃいます。

 

娘は手袋の内部構造を図解して

見せてくれました(笑)

 

今流行りのシェアハウスが

こんな昔からある絵本で、すでに、

楽しく描かれていることにも驚きです。

 

 

余韻と暗喩に想像が広がる絵本

 

 

おしくらまんじゅうしながらでも

入りたかったおじいさんの手袋。

 

雪のちらつく寒い森の中、

種の垣根を越えて、寄り添って暖をとる動物たち。

 

そこには、

深くてピースフルな暗喩が秘められているような

そんな気もします。

 

そして、結末。

 

おじいさんが手袋を探しに来たときには、

さっきまでぎゅうぎゅうに詰まっていた動物たちの姿はありません。

 

手袋も何事もなかったかのように

リフォーム前の姿に。

 

いったい、どうやって・・・?

あっという間に 動物たちは、どこへ・・・?

 

 

幻想的な余韻に浸りつつ、

読み手のなかに、想像の世界がまた広がってゆく。。。

 

細部にわたって、とても味わい深い絵本です。

 

 

 

感想:読み聞かせをした当時を振り返って

 

 

娘が小さい頃に、この『てぶくろ』を

読み聞かせをしていると、

何だか難しい顔で聞いています。

 

 

特に、オオカミが「俺もいれてくれ」

と出て来た時に、

「絶対ダメー!だってうさぎさん達

食べられちゃうもん!」と

猛抗議!

 

 

オオカミと言えば、赤ずきんちゃんや

三匹の子ブタに登場する、

「食べちゃうぞ~」的な

怖くてイヤなやつっていう

印象だったんでしょうね。

 


↑*娘のイメージ

 

このオオカミさんは優しいんだよ~、とか

ふわっとした説明をして、

なんとか次のページをめくると、

みんなと仲良く手袋におさまってる絵が。

 

 

「やさしいオオカミさんもいるんだー」と

とりあえず納得してくれたようで

ひと安心でした(笑)

 

 

お話の中のみんなの愛称も妙に耳に残ります。

 

くいしんぼねずみにぴょんぴょんがえる、

はやあしうさぎにおしゃれぎつね。

はいいろおおかみ、きばもちいのしし、

最後はのっそりぐま。

 

 

個性溢れる生き生きとしたその愛称を聞くだけで、

ビジュアルが想像できてしまいます。

(ただ、はいいろおおかみは

どこにも灰色要素が見当たらず、

これまた何で何でと娘の質問責めに

あいましたが・・・)

 

「わたしもいれて」

「いいですよ」

何度か読み聞かせにこの本を選んでいると、

いつのまにかわたしにかぶせるように

声をあわせてセリフを言うようになった娘。

 

繰り返しのリズムが心地良いのか、

とっても楽しそう。

子どもは吸収が早くて驚かされたものでした。

 

 

おわりに

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

おじいさんの手袋のなかで温まっていた

動物たちのように

ほっこりする冬の定番絵本のご紹介でした。

 

冬のさんぽ道

持ち主が見つけてくれることを祈りつつ

落とされた片方の手袋たちを

道の端によけながら、

陽射しの暖かさと空気の和らぎに

春の足音を感じた朝でした。